アーティストやクリエイターのプラットフォームへ
2004年1月、アメリカでサービスが始まり、世界で登録ユーザ2億人以上、30カ国以上の地域で展開している世界を代表するソーシャルネットワーキングサービスを展開。国内においては、2005年11月に日本法人(マイスペース株式会社)を設立し、2006年11月から「Myspace Japan」をリリースしました。

渋谷駅から徒歩8分ほど、道玄坂の頂上付近にデザイン性の高いエントランスをしたトウセン道玄坂第二ビルに、 今回取材をさせて頂いたマイスペース株式会社様がご入居されています。淡い光に包まれたエントランスがクリエイティブ な環境を創造させます。
インターネットの新しい可能性
今回渋谷を選択された経緯は何ですか。
日本支社は10名弱で立ち上げて、現在50名前後の社員が働いています。創業時から2年程汐留のソフトバンクのビルにいました。今回渋谷に移転したのは、何点か理由があります。 1つは音楽を中心にエンターテイメントサービスを行っているアーティストやクリエイター、パートナー会社さん、協力会社さん達が原宿含めて渋谷から青山通り周辺に多いということ。そういった方達に気軽に来て下さいと話しても、新橋だと気軽に来れなかったりしたんですね。それから、以前のオフィスは完璧なオフィスビルだったので、セキュリティが何十にもかかっていました。セキュリティは大事ではあるものの、我々のようなベンチャーでかつ、色々なアーティストやクリエイターの方と日々お話しをさせて頂くような状況から考えると利便性が・・・と思った点です。 2つ目は、渋谷を中心にイベント等を主催したり、協賛したりすることが多いので、ライブハウス等への交通の便ですね。 3つ目は、マイスペースが発信している音楽というのは、半歩一歩先を進んでいるというところがあり、その発信地は渋谷にあります。それは日本に対してもそうですし、世界に対しても渋谷は一つの象徴的な場所になっているので、そこから情報発信した方が、ブランドイメージ的にもふさわしいかなと。 上記3つくらいが今回、移転した理由ですね。
今回のオフィスのコンセプトは。
シンプルでお金がかからないように(笑)。最低限、仕事が快適にできればいいと思っていて、それ以外はなるべくシンプルに(笑)。
My spaceにおいて、アメリカで立ち上げられた本来のコンセプトと、日本でのコンセプトの違いを教えて下さい。
基本的には変わることは無いです。マイスペースは音楽やデザイン、アート、パフォーマンス、映像など、多くの人に影響を与えるインフルエンサーの方達とファンを結び付けていくというコンセプトがあります。もちろん一般のファンの人同士での結びつきもありますが、どちらかというとインフルエンサーとファンを結ぶという位置付けに重きを置いています。使われ方としても、イベントの告知や発表、いつアルバムがリリースされるとか、何処でパフォーマンスを行うなど、ファンがインフルエンサーと継続的に繋がっていたいというのがそもそもの原点です。 後は、そのアーティストのページに行けばファン同士で繋がりあうことができるので、同じ嗜好のファンが集まったら面白いねという形でも使われています。 完全な個人と個人との会話やコミュニケーションで盛り上がるというよりは、イベント会場に行って、知らない人達が時を同じくして盛り上がって、そのような場で仲良くなるというイメージのほうが近いような気がします。
日本支社を立ち上げるというのは必然だったのですか。
音楽の面で見ると、日本は世界で2~3番目のマーケット規模があり、インターネットの普及や利用率も世界のトップ3に入ります。また、日本のアーティストやコンテンツ、クリエイターは世界から強く求められています。日本にいると、国内は国内で閉じると決め付けている人も多いのですが、言語の壁や国境はこの業界においてはあまり意味が無いんです。 外から見ると日本のものは非常に評価が高いのに、外への発信の仕方や手段があまり無いためギャップが生じている。そのような場所で、マイスペースが世界との架け橋になるべく、日本支社がスタートしました。国内国外問わずにプロモートしていきたいと思っている日本のアーティストがマイスペースのアカウントを持つことで世界と繋がっていくわけです。 後は、色々なコラボレーションを企画する場合にも有効に使われています。海外のプロデューサーやレーベルは日々新しい才能を発掘しているので、クリエイターやアーティストの人物データベースになっていたりします。 ですので、国内では全く無名のアーティストでも、UKのアーティストから前座としてツアーに参加して欲しいというオファーが来て、騙されているんじゃないかと思いつつ一緒にツアーを廻ってきましたなんてこともあります。世界の人から見ると元々国境を意識してないですからね(笑)。海外から見た場合、基本的には人種がミックスしており、良いモノはどんどん取り入れて最高のモノを造り上げるんだという意識なので、そこに言語や国境がどうのこうのと言っている方がおかしいという印象ですね。 今後は日本のコンテンツや才能を世界に発信していけるプラットフォームにしていきたいです。全世界2億人のメンバーの一人として、全世界にアピールし、発信し、そして世界からも求められる。そのような使い方ですね。
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| ビルのエントランスが近未来的なデザインになっています。執務スペースにはシンプルな社名用ポスターが貼られています。 | ||
人とのつながりから生まれる新しい価値
世界では何支店くらいあるのですか?
30カ国以上です。言語が違えば書いてあることは分からなかったとしても、映像や音楽などの表現やコンテンツは見たり聞いたりすれば楽しめるので、比較的言語に依存しにくいと思います。色々な国にあって、様々な国のアーティストやクリエイター、コンテンツが集まっているのが面白いですね。
何名くらい会員がいるのですか?
世界では2億人の会員がいます。アーティストやクリエイターは一般ユーザとは別の登録になっていて、それが800万人(日本は約9万人)くらいですね。そのインフルエンサーが情報を発信していく中で、新しい繋がり方や面白さを提供していきたいと思っています。
国内大手SNSとの使われ方の違いは何ですか。
国内の場合、既に知っている人を対象に、より強く繋がろうとするソーシャルネットが多いと思っています。それはそれで凄く便利だと思いますが、その一方で、これ以上その場で濃い関係を求めていない方は、新しい興味や個人の趣味嗜好での繋がりを求めていると思います。そのようなコミュニティで話される話題は個人的なことではなく、このアーティストに対してどうだとか、パフォーマンスがどうだとか、コンサートに行ってどうだとか、ここに行きたいとか、そもそも会話のレイヤーが違うと思っています。このようなことはネットだからということではなく、普段の生活を見た場合も、ソーシャルネットワークは元々何種類か存在しており、話題も使い分けているはずなんですね。何かのファンクラブに加入していたとしても、そのファンクラブで仕事の話をしないですし、逆に会社でアーティストの話を熱く語っても「ン…なに??」となるわけで(笑)。複数の場で複数のコミュニケーションをしていくのは、実社会における人間の行動では当たり前だと思っています。その中でも、エンターテイメントの領域での会話をサポートできる場を造ろうとする。そのコンセプトや行動は、アメリカでも世界でも日本でも変わらずに行っています。 まだ日本に進出して2年ほどしか経っていなく、ソーシャルネットが大きく成長するのには数年かかるので、まだまだこれから造っていくところはあるかと思います。ただ、それぞれ領域別に様々なソーシャルネットが出てきて、領域別に使い分ける必要が出てくるかと思います。そもそも、自然に使い分けずに混ざってしまうと使いづらくなるはずです。例えば、仕事場をベースにしたネットワークの中に、昔の友達が入ると、妙な突っ込みがあるかもしれないじゃないですか。「お前、そんなこと言ってるけど、○○の時にああなって、○○さんと大変な目にあったじゃん!」とか(笑)。コミュニケーションの質が違うので、使い分ける必要があると思いますね。
人材採用のポイントは
弊社もベンチャーなので、スキル以上に、成長させていくという気持ちが強くないと務まらないと思っています。ベンチャーとして直面する課題は、ランニング状態にある企業や大手企業の中で直面する課題とは、当然質が異なっています。まだまだ知名度もないですし。そういった意味で言うと、支えがないと働けない人も世の中にはいると思いますが、無いものを嘆いている人より無いのが当たり前だと割り切れる人、更に、既にあるものを使ってどうこうするというよりまだ無いものを造り上げていくことを楽しめる人でないと働けないですね。 後は、インターネットという技術は扱っていますが、弊社はどちらかというと人のビジネスだと捉えています。結局は、アーティストやクリエイター、そのファンの方達との距離感や、繋がり方、盛り上げ方が重要なので。マインドセットとしては、インターネット技術を駆使してインターネットのサービスを展開していくというよりは、人と人との関係造りとか、どうやってコラボレーションしていくかとか、人視点で考えられるかだと思っています。結果的にアウトプットはもちろんネット上で生まれますが、バーチャルで閉じるのではなく、それが形になったり、音になったり、流通したりとかリアルと次々と繋がり、広がっていくということに感覚的に理解がある方が望ましいですね。弊社は決してネットで閉じるという発想ではないと思っています。
東京オフィスについて一言お願い致します。
宇垣さんには、とても親身に手伝って頂きました。私も今迄何度かオフィスを探すような場に立ち会ったことがありますが、仲介会社さんには、あくまで仲介として振舞われる方と、今回のように我々の立場に立って考えて頂ける方と二通りあるなと感じました。本当に我々の視点になって、様々なことを考えて頂いて良かったなと思います。なかなか他では、そのように思ったことが無かったので新鮮でした(笑)。是非、今後も維持していって頂けたらと思います。エリアや予算感、社員の通勤の便、パートナーや協力会社さん、アーティストやクリエイターとの距離感も重要という難しい要求でお願いしていたのですが、凄く良い環境に移転することが出来ました。どうもありがとうございました。
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| 白をベースとしたシンプルなオフィスですが、執務スペースは熱気があり、ところどころにクリエイティブを感じる小物が配置されていました。 | ||
取材を終えて
こちらのコラムは東京オフィスの岩上が担当いたします。
世界大手のSNS企業のマイスペース様にお話をお伺いすることができました。お話をさせて頂く中で、人を中心としたネットワーキングというのが、インターネットの優れた特徴を用いた進むべき方向だとおっしゃっていました。ユーザの一人として、コンセプト、進むべき方向性をお聞きできたのはとても興味深い時間でした。お忙しい中お時間を頂きどうもありがとうございました。
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